ひらめきのパターン

発想の切り口を増やそう!

ニーズとひらめき【02】分離しよう!

 今回は「ひらめきのパターン【02】分離しよう!」です。

このパターンがあてはまるニーズ(解決したい課題)も紹介します。

(全体の中で)ある部分が邪魔である、また逆に、ある部分だけが必要である場合、全体から「その部分を分離しよう」という考え方です。

ベースの発明原理は「発明原理2分離」です。

図1のイメージ図は、全体から「ある部分を分離する」様子を示しています。

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図1.【02】のイメージ図

【02】分離しよう!には、次の4つサブパターンがあります。

  • [02a]悪い(不要な)部分を取り除こう!
  • [02b]良い(必要な)部分を取り出そう!
  • [02c]空間(部分、場所など)で分離しよう!
  • [02d]時間で分離しよう!

4つのサブパターンを、あてはまるニーズ(解決したい課題)と事例イラストを用いて説明します。

 あてはまるニーズ(解決したい課題)

表1は、サブパターンと、それがあてはまるニーズ(解決したい課題)の一覧表です。

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表1.サブパターンとニーズ

ニーズ(解決したい課題)は代表的なものを示しています。それぞれのサブパターンには、あてはまる別のニーズもありますが、簡単にするため、1つのニーズに絞っています。

【02】分離しよう!では全てのサブパターンで、あてはまるニーズ(解決したい課題)は共通です。「あるモノを改善したい」というニーズ(課題)は共通ですが、状況に応じて使うサブパターンが異なります。

例えば、「あるモノを改善したいが、一部分だけ悪い」場合は、[02a]悪い(不要な)部分を取り除こう!を使います。

また、「あるモノを改善したいが、一部分だけ良い」場合は、[02b]良い(必要な)部分を取り出そう!を使います。

[02a]悪い(不要な)部分を取り除こう!

サブパターン[02a]は「悪い(不要な)部分を取り除こう!」です。全体の中で「ある部分」だけが悪い、または不要の場合は、「その部分だけを取り除いてしまおう」という考え方です。

あてはまるニーズ(解決したい課題)と状況には「あるモノを改善したいが、一部分だけ悪い」があります。

例えば、図2のように、お気に入りのセーターに毛玉ができてしまいました。そのため、セーター全体が悪く見えてしまいます。これは、「セーターを改善したいが、一部分(毛玉になった部分)だけが悪い」という状況です。

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図2.毛玉ができたセーター

このような状況では、[02a]悪い(不要な)部分を取り除こう!が使えます。

この場合は、毛玉(悪いもの)だけを取り除きます。そうすれば、セーターが改善されて気持ちよく着ることができます。

[02b]良い(必要な)部分を取り出そう!

サブパターン[02b]は「良い(必要な)部分を取り出そう!」です。全体の中で「ある部分」だけが良い、または必要という場合があります。その場合は、その部分だけを取り出して使おうという考え方です。

あてはまるニーズ(解決したい課題)と状況には「あるモノを改善したいが、一部分だけ良い」があります。

例えば、古くなった洋服を処分する時に、その洋服にお気に入りのボタンが付いていたとします。「洋服自体は古くて使えないが、ボタンだけはお気に入り(良い)」という状況です。

このような状況では、[02b]良い(必要な)部分を取り出そう!が使えます。

そのボタンだけを取り外して保管しておきます(図3)。そうすれば、他の洋服のボタンとして、また修理用にも使うことができます。

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図3.ボタン

[02b]良い(必要な)部分を取り出そう!については以上です。

ここまでの[02a]と[02b]では「全体から、ある部分を分離する」ことを考えました。つまり、「まずは分離してみる」ことを考えました。

次の[02c]と[02d]では、分離する際の「分離のしかた」を考えます。分離のしかたについては、次の2つの方法を考えます。

  1. 空間で分離する
  2. 時間で分離する

「全体から、ある部分を分離する」という場合、一般的には「1.空間で分離する」の方がイメージされると思います。例えば「製品から、ある部品を取り出す」、または「建物から、ある部屋を隔離(かくり)する」といったことがイメージされると思います。

それに対して、「2.時間で分離する」という方法では、全体の中のある時間帯だけ分離することを考えます。

分離できる対象には、空間的なものだけではなく、時間的なものもあるという考え方です。これは「1.空間で分離する」に対して、さらにふみ込んだ考え方だといえます。

ではまず、「1.空間で分離する」から考えましょう。

[02c]空間(部分、場所など)で分離しよう!

サブパターン[02c]は「空間(部分、場所など)で分離しよう!」です。

あてはまるニーズ(解決したい課題)と状況には「あるモノを改善したいが、改善策を行うと空間的無駄がでる」があります。

例えば食品には、冷蔵で保存したいものと、冷凍で保存したいものがあります。それぞれに適した温度で保存するためには、冷蔵庫冷凍庫2台が必要になります。キッチンなどの限られた場所に、2台を置くとその空間無駄になります。

このような状況では、[02c]空間(部分、場所など)で分離しよう!が使えます。

図4のように、冷蔵庫から冷凍室を分離して、その空間(冷凍室)だけ冷凍温度に設定します。こうすれば、1つの冷蔵庫で「冷蔵保存と冷凍保存」の両方ができます。

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図4.冷蔵室と冷凍室

キッチンに「冷蔵庫冷凍庫2台を置く」という空間的な無駄をなくすことができます。

次は、「2.時間で分離する」を考えます。

[02d]時間で分離しよう!

サブパターン[02d]は「時間で分離しよう!」です。

あてはまるニーズ(解決したい課題)と状況には「あるモノを改善したいが、改善策を行うと時間的無駄がでる」があります。

通勤や通学時のラッシュは大変ですよね。対策としては、電車の「運行本数を増やす」方法があります。でも1日全体の運行本数を増やしてしまうと、混雑していない時は、無駄が出てしまいます。

このような状況では、[02d]時間で分離しよう!が使えます。

図5の時刻表(架空です)のように「通勤ラッシュの時間帯だけ」電車の運行本数を増やすという対応を行います。

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図5.時刻表

 このような対応を行うことで、すいている時間帯に多くの本数を走らせるという無駄をなくすことができます。

ニーズとひらめき【02】分離しよう!は以上です。

次回は【03】非均一にしよう!です。

あるモノや、その周囲(の環境)が、均一な(どれも同じ/一様である)状態である場合は、それを非均一な(同じでない/偏っている)状態にしてみようという考え方をご紹介します。