ニーズとひらめき【03】非均一にしよう!
今回は「ひらめきのパターン【03】非均一にしよう!」です。
このパターンがあてはまるニーズ(解決したい課題)もご紹介します。
「【03】非均一にしよう!」は、あるモノや、その周囲(の環境)が、均一な(どれも同じ/一様である)状態である場合は、それを非均一な(同じでない/偏っている)状態にしてみようという考え方です。
ベースの発明原理は「発明原理3局所性」です。
図1に【03】のイメージ図を示します。このイメージ図は、均一な(一様である)状態を、非均一な(偏っている)状態に変える様子を示しています。
【03】非均一にしよう!には、次の4つのサブパターンがあります。
- [03a]非均一にしよう!
- [03b]まわりを非均一にしよう!
- [03c]ある部分を最適にしよう!
- [03d]異なる機能を持たせよう!
4つのサブパターンを、あてはまるニーズ(解決したい課題)と事例イラストを用いて説明します。
あてはまるニーズ(解決したい課題)
表1は、サブパターンと、それがあてはまるニーズ(解決したい課題)の一覧表です。
※ニーズ(解決したい課題)は代表的なものを示しています。それぞれのサブパターンには、あてはまる別のニーズもありますが、簡単にするため、1つのニーズに絞っています。
[03a]非均一にしよう!
サブパターン[03a]は「非均一にしよう!」です。均一な状態を、非均一な状態にしてみようという考え方です。
あてはまるニーズ(解決したい課題)には「新たな効果を得たい」があります。
効果には次のような意味があります。
- 一般的な意味:ある行いや工夫によって得られる、望ましい結果やききめ
- 科学的な意味:ある原因から結果として生じる現象
それで、ここでは効果を次のような意味で用います。
- ある目的を持った行い(工夫)により得られた結果(ききめ)
例えばゴルフボールに対しては、「遠くまで飛ばせるようにしたい」という目的を持って、様々な工夫がなされてきました。
その1つが、図2のように、表面に多くのディンプル(小さなくぼみ)をつけるというものです。
均一な(ツルツルの)表面を、非均一な(くぼみがたくさんある)表面にしました。
その結果、次の効果が得られるようです。
- 揚力(空気中を動く物に、上向きに働く力)を発生させる
- 空気抵抗を減らす
これらの効果により、ボールを遠くまで飛ばすことができるようになります。
この例のように「何か新たな効果を得たい」場合に、そのモノの表面に着目することがあります。
この場合、[03a]非均一にしよう!が使えます。均一な状態を、非均一な状態にしてみようという考え方です。
均一な(例えばツルツルな)表面を、非均一な(例えば凸凹な)表面に変えることで、何か良い効果を得ることができないかを考えます。
このような観点で得られた効果は他にもあると思います(靴底表面の細かな凸凹構造による滑り止め効果など)。皆さんも探してみはいかがでしょうか?
[03b]まわりを非均一にしよう!
サブパターン[03b]は「まわりを非均一にしよう!」です。
あてはまるニーズ(解決したい課題)には「新たな効果を得たい(そのモノだけでは難しい場合)」があります。
「新たな効果を得たい」というニーズは[03a]と同じです。[03a]では、あるモノを非均一にすることを考えますが、そのモノだけでは難しい場合があります。
この場合、[03b]まわりを非均一にしよう!が使えます。そのモノの「まわり(周囲)の環境」を非均一にしてみようという考え方です。
例えばプロジェクターの映像を見ながら、手元の資料も見る場合、部屋が暗いと資料は見えにくいですよね。
その場合は図3のように「スクリーン部は暗く」して「受講者席は明るく」します。そうすることで、映像も資料も両方が見えやすくなります。
プロジェクターというモノ自体を非均一にするのではなく、その「まわり(周囲)の環境」を非均一にすることを考えました。つまりプロジェクターのまわり(周囲)である部屋の環境を非均一にします。
部屋の中に「暗い部分」と「明るい部分」をつくることで、映像と資料の両方が見えやすくなります。
このように、「新たな効果を得たいが、そのモノだけでは難しい場合」は、そのモノの「まわり(周囲)の環境」を非均一にしてみると、効果が得られることがあります。
[03c]ある部分を最適にしよう!
サブパターン[03c]は「ある部分を最適にしよう!」です。全体を最適にすることが難しい場合に使える考え方です。
あてはまるニーズ(解決したい課題)には「大きな変更は行わずに改善したい」があります。
例えば、寒い季節は、部屋全体を暖かくする(つまり大きな変更を行う)と電気代などが高くなります。図4のようにこたつを使えば、部屋全体は寒くても、こたつの中は暖かくできます。
こたつの中だけを「最適な(暖かい)状態」にすることで、効率よく暖を取ることができます。
「部屋全体を暖かくする」という大きな変更は行わずに、こたつを使うことで効率よく暖を取るという改善を行った例ですね。
[03d]異なる機能を持たせよう!
サブパターン[03d]は「異なる機能を持たせよう!」です。
あてはまるニーズ(解決したい課題)には「コンパクトにしたい」があります。
この考え方を使って製品などに複数の機能を持たせることで、製品をコンパクトにすることができます。
例えば図5のように、コントローラーの十字キーでは、4つの部分(上/下/左/右)に、それぞれ異なる機能を持たせています。
こうすることで、1つの部品で複数の機能を提供できます。その結果、コントローラー(製品)をコンパクトにすることができます。
ニーズとひらめき【03】非均一にしよう!は以上です。
次回は【04】非対称にしよう!です。
あるモノが対称(な形)である場合は、それを非対称(な形)にしてみようという考え方をご紹介します。